瓦、金属、カラーベスト……3つの屋根材の断熱性を徹底比較!

 瓦、金属、カラーベストの断熱性を徹底比較!

さて6月を迎え、だんだんと気温が高くなってきました。

 

梅雨時期に入って全国各地で湿度も上がっており、日中・夜間問わず、蒸し蒸しして過ごしにくい方もいらっしゃることでしょう。
空調をつけないと眠れない」と、寝苦しさを感じる日も増えてきたと思います。

 

2018年の夏はどれくらい暑くなるのでしょうか。
気象庁によると、全国的に6月は平年並みか少し涼しいくらいだそうです。
しかし7、8月は北日本を除いて、平年に比べて気温が高くなる見込み。例年以上に、うだるような猛暑に備えなくてはいけません。

 

夏の猛暑に耐え抜くために、毎年エアコンや扇風機などをフル稼働させるご家庭もいらっしゃることでしょう。
日光が直撃する昼間はもちろん、日没後も、日中の間に屋根や壁に蓄積された熱が室内に放出されるため夜間でも室温が高くなります。
クーラーや扇風機を使わなくては一日を快適に過ごせませんよね。

 

そこで気になるのが「電気代」の問題。

 

気づいたら、普段の数倍にも膨れ上がってしまい、家計を圧迫してしまうことがあると思います。
しかし空調設備を止めてしまっては熱中症の危険にさらされてしまいます。快適に夏場を過ごすために、常にエアコンをつけている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、電気代を節約しながら涼しく夏を過ごしたい方のために、屋根材別の断熱性能を徹底的に比較します。

 

断熱性の高い屋根材を設置するとエアコンの設定温度を極端に下げなくてもよくなるので、夏場の電気代問題にお悩みの方は、ぜひご覧ください。

 

 

■断熱性が高い屋根材を導入すると住宅全体が涼しくなる理由

 

「断熱」とは簡単に言うと「外気の熱を室内に取り入れない仕組み」です。

 

夏場の屋外の気温は連日30℃を超えます。そして屋根の表面温度は直射日光により、素材に関係なく70℃を超えるそうです。
屋根材の断熱性が低い場合はこれらの熱が室内にたっぷり入り込んでしまうため、室温が上昇してしまうのですが、しっかり断熱できていればこの熱の侵入を抑えることができるので、暑さは軽減できます。

 

では、なぜ屋根材によって断熱性に差が生まれるのか。
実はそこには「通気層」の存在が大きく関係しているのです。

 

屋根はたくさんの部材によって構成されています。
部材が密着している部分からは熱伝導によって熱が侵入します。しかしそこに隙間があれば通気層ができるので、熱伝導によって侵入する熱の量が大幅に減ります。
結果、室内は比較的涼しい状態が保たれるわけです。

 

ちなみにこの通気層による断熱効果は壁の中に通気層を設ける「通気工法」という工法でも見ることができます。
通気工法とは、外壁材の内部に溜まった、熱を持った湿気を外に出すための工法。外壁材と防水シートの間に通気層を設けることで、断熱性を高めてくれます。
また熱を持った湿気を放出するので、結露を防げるのも魅力です。

 

このように「通気層」によって熱を逃がすことで、断熱性能が上がることを頭に入れておきましょう。

断熱性が高い瓦断熱性が低い化粧スレート断熱性が低い金属屋根

 

 

 

■カラーベスト、金属、瓦……それぞれの断熱性能の違いとは?

 

では、ここでカラーベスト屋根、金属屋根、瓦屋根の3つの屋根材それぞれの断熱性能の違いを見ていきましょう。

 

 

1.カラーベスト屋根
カラーベスト屋根の断熱性能

 

コロニアルや薄型化粧スレートとも呼ばれる「カラーベスト」。日本では昭和36年に久保田鉄工株式会社(現ケイミュー株式会社)が販売して以来、その軽量性やコストの安さから人気となり、現在の日本の屋根の大半がこのタイプになっています。

しかし断熱性に注目してみると、ほかの屋根材に比べて劣ってしまうのが実情です。
屋根の下地(野地板+ルーフィング)に対してべったりと密着させながら葺いていくカラーベストの場合、熱が直接的に住宅の内部に入ってしまうことになります。

 

 

2.金属屋根
金属屋根の断熱性
続いては金属屋根です。
トタン屋根やガルバリウム屋根、ステンレス屋根などさまざまな種類がある金属屋根ですが、どの種類も断熱性に優れているとはいえません。

そもそも金属は熱伝導率が高いのが特徴。たとえば熱い飲み物を飲むとき、金属製のコップと陶器でできたコップのどちらが熱くなるのかをご想像ください。陶器の持ち手に比べて金属は熱くなってしまいますよね。

 

しかし最近では、断熱材を挟み込んで施工する金属屋根も多く見かけます。
「それなら弱点を克服できるんじゃないの?」と思われた方、注意してください。

 

金属屋根の下に使われる断熱材はおよそ数ミリ程度。これではほとんど断熱効果を期待できません。断熱材は通常の場合、50~70ミリほど使うからこそ効果が発揮されるのです。
よって、金属屋根もほとんど断熱性能は無いと言わざるを得ません。

 

 

3.瓦屋根
瓦屋根の断熱性能
最後に瓦屋根の断熱性能についてご紹介します。
結論から言うと、屋根材で最も断熱性能が高いのは瓦屋根です。

 

粘土瓦を葺く工法は、カラーベストや金属とは違い、必然的に下地材と瓦の間に通気層ができます。下地材とべったり密着してはいないので、熱伝導による熱の浸入が少なくなるのです。
また通気工法を採用すればその断熱性能はさらに上がります。
したがって、3種類の瓦のなかでも一番熱の入りにくい室内空間を実現できます。

 

 

■ポリフォーム工法で、より断熱性が高い住宅をつくる

 

さらに断熱性を高めるためにおすすめしたいのが「ポリフォーム工法」です。

 

ポリフォーム工法とは、従来の瓦の設置方法とは違い、接着剤を用いて瓦を敷きつめていく施工方法のこと。“世界最強”といわれるほど、接着力が強いのが特長です。

 

ここで注目したいのは、ポリフォームはそれ自体が断熱材として高い性能を持ち合わせていること。
つまりポリフォーム工法で瓦屋根をつくれば、野地板との隙間に空気の層を作ってくれるばかりか、さらなる断熱が期待でき、住まいをより涼しく快適に保つことができるのです。

 

毎年、夏場の電気代にお悩みの皆様、ポリフォームを利用して、瓦ぶきの屋根を実現しませんか?
住まいの快適性が大幅に変わるのは間違いありません。

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