1995年1月17日の早朝、阪神淡路大震災が発生しました。
近辺にある多くの住まいが被害を受け、瓦が崩れてしまった一戸建ての屋根に、雨よけのブルーシートがたくさんかけられました。
そして2011年3月11日の東日本大震災、さらに2016年4月14日の熊本地震でも、多くの瓦屋根が被害を受け、幾度となくブルーシートが広がる光景を目にすることになりました。
たくさんの報道を目にして、「瓦は地震に弱い」「瓦は重いから建物に悪い」と感じた方も多いと思います。
しかし詳しく調べてみると、この考えが誤解であるという事実にたどり着きます。
たとえば、下の写真をご覧ください。
これは阪神淡路大震災のときの写真ですが、背後のマンションが倒壊しているそばで、手前の瓦屋根の建物は瓦も家もほとんど被害を受けていません。
これは、どこで差が出ているのでしょうか?
今回は、そのあたりを詳しく見ていきましょう。
■地震で瓦が落ちるのは、建設時の施工技術に左右される
日本の住まいの基準は「建築基準法」などによって規定されていますが、この基準は天災のたびにグレードアップし、住まいは年を追うごとに頑丈になっています。
これは、屋根瓦についても同じです。
1995年の阪神淡路大震災以前も、1990年に「JASS12 屋根工事標準仕様書」が改訂され、軒やケラバ(外壁よりも外側に出ている屋根部分)の瓦を釘打ち・緊結することが盛り込まれています。
さらに阪神淡路大震災以降は2000年に建築基準法が改正され、これを受けて2001年には瓦屋根施工の最低限の基準として、「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」が制定されています。
瓦メーカーと瓦工事業者による団体、全日本瓦工事業連盟、全国陶器瓦工業組合連合会による実大実験によれば、1981年の時点で、すでに瓦屋根は震度4~7の水平垂直同時振動にも耐え得ることが分かり、2004年時の施工技術では、阪神淡路大震災クラスの地震でも瓦は崩れにくいことが実証されています。
つまり、「建物が倒壊する原因は瓦ではない」「屋根瓦が落ちるのは、瓦が地震に弱いからではない」ということ。
一番の問題は、耐震技術が確立される以前の建築基準で建てられた住まいが多くあることによります。
そのため、新しい基準で建てられた建物は被害が少なく、技術が確立される前に建てられた建物は被害が大きくなった、という差が出てしまったのです。
たとえば、地震で屋根瓦が崩れた建物の映像を見ると、そのほとんどが、瓦の下に土が現れています。
これは「土葺き」といって、粘着性のある葺き土の上に瓦を置いただけの「べた置き」と呼ばれる工法の特徴です。
また、瓦を桟に引っかけただけの「引掛から葺き」による屋根瓦の崩れも多く見られます。
■古い建物を現代の建築基準に追いつかせるには?
現在の技術で建てれば、瓦屋根の住まいでも必要最低限の耐震性が確保されることが分かりました。
でも、住宅は30年、40年…と、長期に渡って建ち続けるもの。
家を建ててからの期間が長ければ長いほど、過去の技術で建てられた建物ということになります。
また近年では、過去には予想されなかったような大きな地震や台風が年々増加しています。
建物の高さなどによっては、ガイドライン工法を満たしていても安心はできません。
こうした既存の住宅を安心できる住まいにするには、現代の技術に適合させたり近づけたりする改修を行なうこと。
しかし残念なことに、瓦屋根の住まいでは、この必要最低限の工法ですら普及が進んでいないのが現状です。
その原因の1つが、コストです。
たとえば瓦屋根施工の最低限の基準に葺き替えをするだけでも膨大な手間とコストがかかり、改修は容易ではありません。
そこで注目を集めているのが、ポリフォーム工法。
発泡ウレタンの強力接着剤で瓦を強固に屋根へ固定する工法で、毎年ハリケーンの上陸で悩まされているアメリカ・フロリダ州の条例では、義務付けられているほどの信頼性があります。
しかも瓦屋根施工の最低限の基準「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」の約3倍の強度がありますので、安心感も段違いです。
このポリフォームを瓦の隙間から注入することで瓦屋根の強靭な補強になりますので、屋根を剥がすなどの大がかりな工事の必要もなく、施工はすぐに終わります。
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年月とともに進化する、屋根の施工技術。
築年数の長い建物に住まわれているようでしたら、近年増え続ける巨大台風や大地震への対策として、一度検討してみる価値がありそうです。
<ポリフォームについての詳細はこちら>
http://www.polyfoam.jp/