雪の多い地域でも安心して暮らせる住居に! 積雪に強い屋根にする方法

積雪に強い屋根

 

日本列島は北海道から沖縄まで南北に長く、日本人はそれぞれの土地の自然環境に合わせた暮らしをしています。そこに住む人々は長い年月をかけて、その地域の環境に耐えうる住まいを作り上げてきました。

 

これから、雪の降る地域には厳しい冬がやってきます。空から舞い降りる雪は軽くても、屋根の上に積もった雪は、1㎥あたり150㎏以上になるといわれています。
雪国の住居の屋根は、その積雪の重さに耐えるのはもちろん、気温により日夜繰り返される凍結融解にも耐えうるものでなければなりません。

 

このように、雪国の屋根に求められる機能は少々特殊です。
そこで今回は、積雪に適した屋根について考えてみたいと思います。

 


■地域の環境によって異なる屋根材

それぞれの地域の特性によって屋根の特徴も変わってきます。実際に雪の降る場所では、どのような屋根が使われているのでしょうか。

 

・北海道や東北地方の金属屋根
日本の中でも積雪量の多い北海道や東北地方では、金属屋根が普及しています。豪雪地帯は雪下ろしの負担が大きく、最近では、屋根に雪をのせたまま自然に溶かす「無落雪屋根」が主流になってきています。積もった雪を雪下ろしせずに、自然に溶けるまで待ったり、屋内の暖房の熱などで雪が溶けたりして排水できる仕組みです。

 

無落雪屋根は板金で作られるので、北海道や東北地方では、金属屋根の普及率が7割を超えているといわれています。

 

北海道や東北地方の金属屋根


・日本海側地域の瓦屋根
冬の日本海側は波が荒く、積雪に加えて塩害の対策についても考えなくてはなりません。そのため、錆びてしまう恐れのある金属の屋根材ではなく、瓦を使った家が多くなっています。

 

瓦は、その地域の土を使い、それぞれの土地の気候に対応できるように発達してきました。表面を釉薬(ゆうやく)でコーティングすることで、吸水率が低く凍害に強くなった「釉薬瓦」など、日本海沿岸地域の過酷な条件にも耐えうる瓦が作られています。

 

他にもさまざまな瓦が作られています。ドブづけという手法で裏面にも釉薬をかけて作られる、風雪に強い石川県の「能登瓦」。粘土の鉄分や石などを表面に噴出させることで、瓦の肌がざらざらし、雪下ろしの時でも滑りにくくなった新潟県の「安田瓦」。島根県の「石州瓦」は、日本海に面し、山間部は雪深くなる石見地方の厳しい環境から生まれました。焼成温度1200℃以上の高温で焼き上げることで土がしまり、吸水率が低く寒さに強い瓦になっています。

 

石川県・能登瓦
(独特の黒色が特徴の石川県・能登瓦)

 

安田瓦_瓦テラス
(表面がざらざらしている新潟県・安田瓦|画像出典:瓦テラス)

 

島根県・石州瓦
(赤瓦が特徴の島根県・石州瓦)

 

雪の多い地域で使われている屋根材は、過酷な環境で暮らしていく必要に迫られながら、長い歴史の中で工夫を繰り返し作られ続けてきました。雪や塩害などお住いの環境を考慮して屋根材を選ぶことが、屋根の耐久性を高め、大切な住居を守る重要なポイントになるでしょう。

 


■瓦の断熱性能で冬を暖かく過ごす

寒さの厳しい場所では、住居の暖かさをいかに保つかも大事になってきます。以前投稿した記事「断熱性に優れた瓦屋根で、日本の冬を快適に!~世界中で認められている瓦の断熱性能~」でもご紹介しましたが、屋根材の違いで断熱性に大きな差が生じてきます。

 

屋根材の表面と裏側の温度差

屋根材の違いによる熱の伝達

(出典:安田瓦HP「安田瓦屋根」より)

 

瓦は熱抵抗値が高く、粘土瓦は他の屋根材と比較して、圧倒的に断熱性が高い素材です。さらに瓦そのものの素材に加えて、瓦を葺く(ふく)工法にも熱を外に逃がしにくくする特徴があります。

 

野地板に屋根材が密着する金属屋根やスレート屋根に比べて、瓦屋根は野地板との間に空気の隙間ができます。この空気層によって外に熱が伝わりにくくなり、温まった部屋の空気が外に逃げるのを防いでくれるのです。

 

瓦屋根の断熱
(出典:丸栄陶業パンフレット「マンガで学べる屋根材入門」より)

 

さらにポリフォーム工法で施工した瓦屋根の場合、この空気層は強力な発泡ポリウレタンフォームの接着剤に代わります。空気層と比べて遥かに断熱効果が高く、暖房で温まった室内の熱を屋外へ逃がしにくくなります。

発泡ウレタンフォームのポリフォーム

 


■雪国の屋根では「すが漏れ」に注意

積雪地帯では、雪が原因で雨漏りになる「すが漏れ」にも注意が必要です。

 

屋根に積もった雪は、室内の熱が伝わることで少しずつ溶けて水になります。冷たい外気に晒されると、軒先で冷やされてつららになることがありますが、津軽弁でこのつららのことを「すがま」といいます。

 

雪が原因で雨漏りになる「すが漏れ」

 

つらら(すがま)が広がり軒先だけでなく屋根裏まで凍ってしまったり、凍った軒先によって排水できなくなったりすることで、雪が溶けた水が室内に漏れることがあります。このように、つらら(すがま)が原因で雨漏りになるため、「すが漏れ」と呼ばれています。すが漏れを防ぐためには、こまめに雪下ろしをするか、ルーフィング(防水シート)などで屋根の防水能力を高めておく必要があります。

 

雪が原因で雨漏りになる「すが漏れ」のしくみ
(出典:石川県瓦工事協同組合HPより)

 

すが漏れは、雪が溶けた水が室内に侵入してくることですが、それを防いでくれるのが、野地板に張られる防水シートです。

 

野地板と屋根材の間に貼られる防水シート

 

しかし通常の瓦は釘を使って固定しますが、その際、釘は防水シートを射貫いて野地板の裏まで貫通します。この釘を伝わって雪解け水が屋根裏に侵入するのが、すが漏れ・雨漏りの原因となります。この点についても、屋根材を釘なしで強力に接着するポリフォーム工法であれば解決できます。

 


■雪国に最適なポリフォーム工法

さらに雪国では、積雪による瓦のズレの被害対策も必要です。
また積もった雪はすべり落ちようとする巨大な負荷をかけ続けます。この力により瓦のズレが生じることがありますが、これに対してもポリフォームが有効です。
ポリフォームは巨大なハリケーンが毎年上陸するフロリダ州の条例で義務化されているほど、確かな接着力・固定力があります。積もった雪による力に対しても、問題なく屋根材をしっかり固定し続けますので、瓦のズレとは無縁となるのです。

 

このように、雪国では大切な住まいを守るための地域ならではの工夫が必要ですが、雪解け水の侵入対策と屋根材の強力な固定ができるポリフォーム工法であれば、すが漏れや雨漏りの被害を抑えられ、積雪による瓦のズレも防げてさらに優れた断熱効果も期待できます。

 

積雪の多い地域に最適なポリフォーム工法で、冬でも安心できる住まいづくりをしてみませんか?

 

【ポリフォーム日本代理店会】
http://www.polyfoam.jp/

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